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個人間融資は闇金?掲示板は安全といえるのか|闇金情報ブログ

投稿日:2013.11.03

最新更新日:2018.11.19

司法書士

個人間融資は闇金?掲示板は安全といえるのか

司法書士の下東です。 数年前までは,闇金と取引を始めた経緯はダイレクトメール,電話による融資勧誘,電柱のチラシ等によるとのお答えが大多数でした。 しかし,最近はスマホが普及したことも手伝ってか,インターネットで闇金や審査の緩い金融会社を探したという方が増えております。 その中で特に,個人間融資と書いてあったので闇金ではないと思ったという被害例が急増しておりますので今回はこれを取り上げてみます。

そもそも個人間融資とは?

個人間融資のイメージ 個人間融資という言葉からしてそもそも聞いたことがないという方もおられるでしょう。 個人間融資(ソーシャルレンディング)とは,元々は資金需要者と投資家を結び付けるサービスであり,maneo株式会社や,SBIソーシャルレンディング株式会社などが提供しています。 しかし最近では,個人間融資というと一般の個人の方同士がお金の貸し借りを行うものという意味合いで用いられることが多くなっています。 もっとも,その実態は,単なる個人同士での取引ではなく個人を装った闇金との取引になってしまっています。 今回ご紹介するのは,この個人間融資の温床になっているインターネット上の掲示板についてです。

違法な個人間融資掲示板の特徴

闇金等が運営する個人間融資掲示板は特徴として,以下のような趣旨の記載をしていることが多く,違法性がないことを強調しています。
  • 営利を目的としたサイトではない(貸借の媒介に係る手数料をもらっていない)こと
  • 貸借の媒介ではあるが上記のことから貸金業登録が必要ではないこと
しかし,運営者はどこの誰であるかは明記されておらず,多くは連絡先すら記載ありません。 ちょっと気をつけて見れば誰でも怪しいwebサイトであることが分かります。

個人間融資を仲介する掲示板は貸金業法による規制を受けるか

では,こうした個人間融資掲示板は,サイト運営者が主張するように本当に違法性がないといえるのでしょうか。 貸金業法を見てみましょう。 貸金業法では,第3条第1項で,貸金業を営む者は,貸金業登録を受けなければならないと規定しています。 貸金業とはどういう行為を指すのでしょうか。 条文を挙げます。
貸金業法第2条第1項(抜粋) この法律において「貸金業」とは,金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。
  個人間融資掲示板サイトでは貸し手と借り手を結びつけるサービスを提供しているのですから,金銭の貸借の媒介をしているというところは異論ないでしょう。 これはサイト運営者も自認しているところです。 では,ここでいう「業として」とはどのように定義付けされているでしょうか。   この点につき,昭和29年11月24日最高裁判所大法廷判決では,以下のとおり判示されています。
「貸金業」とは、反覆継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしも報酬若しくは利益を得る意思又はこれを得た事実を必要としないと解するを相当とする。
  ここでは報酬を得る意思や報酬を得た事実を必要としないとされており,営利性は要求されていません。 つまり,手数料を取っていないから貸金業登録は不要ということはできません。 (貸金業における「業として」の要件については,上記のほか「反復継続性」「対公衆性」ということがいわれますが,個人間融資掲示板はインターネット上に設置されているのですから,反復継続して,不特定又は多数の者に対して貸借の媒介を提供しているといえるでしょう。)   2ちゃんねる(5ちゃんねる)を引き合いに出して,違法性がないと釈明するサイトも一部見受けられます。 その釈明の内容は,要約すると2ちゃんねるの掲示板にも個人間融資掲示板が立つことがあるが問題となっていないではないかというわけですが,2ちゃんねるはサイト運営者がスレッドを立てるわけではないのに対して,本稿で述べる個人間融資サイトは,運営者自らが個人間融資のみに係る掲示板を運営しているのですから,本質は全く異なります。 (ただし,2ちゃんねる(5ちゃんねる)にある個人間融資に関する掲示板にもヤミ金がはびこっていますから利用すべきでないことは同様です。)   以上のとおり,多くの個人間融資掲示板は,貸金業法違反(無登録営業)の疑いが極めて高いといえます。 それに,仮に貸金業法違反に当たらないとしても,個人間融資掲示板を利用した結果闇金被害に遭っている方が多数いる現状からすれば,掲示板の運営者は闇金の(出資法違反,貸金業法違反)幇助を行っているともいえ,このような反社会的サイトが信用できないことは明らかです。 これらの個人間融資掲示板には,「闇金・詐欺業者に注意」などと記載して闇金や詐欺の手口を紹介し,健全なサイトであることを装っていますが騙されてはいけません。

個人間融資の貸主は闇金?

では,次にこのような違法な存在である個人間融資掲示板を利用してしまった場合のリスクについて考えてみましょう。 まずは既に書き込みされている貸主と連絡を取る場合について考えてみます。 個人融資を募る貸主の書き込みをみると次のような貸付条件が並んでいます。 ブラックOK,10万円まで即日融資,無審査・・・ どの貸主も,表現の違いはありますが提示する条件は皆同じです。 いわゆるブラックの方からすれば,即日に無審査で10万円を融資してもらえるとなればかなりの好条件なのではないでしょうか。 また,
  • あくまでも個人ですので本当に困っている方を優先します。
  • 業者ではなく個人です。
  • 完全個人なので10万円までの融資です。
などと全ての書き込みが個人であることを強調しています(「完全個人」などとアピールしているとちょっと滑稽ですね)。 なお,過去の書き込みを遡って見ていくと分かりますが,書き込みはタイトルやちょっとした表現を変えるのみで同じようなものばかりです。 極めて不審な掲示板です。 このようなweb上の掲示板に個人情報を送信し,融資を申込みしようものならどういう不利益が起ころうか想像に難くないですが,何故か被害者が後を絶ちません。 さて,では,実際に個人間融資掲示板を利用して,掲示板上の貸主に融資を申込むとどうなるでしょうか。

個人間融資掲示板に書き込むと闇金から連絡が来ます

ここからは個人間融資掲示板に書き込んだ結果,闇金被害に遭われた複数の方の証言を参考に流れを書いていきます。

1 携帯電話番号から連絡が来る

個人名を名乗って連絡が入ります。 そして,既に書き込みした個人情報の再確認が行われ,その他の詳細な情報(住所,勤務先名,勤務先電話番号,給料日,手取り収入額,他の借入状況・貸付金の受取銀行口座等)も聞き取られます。 また,緊急連絡先や万一のときの連絡先と称して家族や勤務先の上司や同僚,友人等の連絡先も尋ねられます(闇金にとって法律上有効な債権の保全方法はありませんから,その分返済が滞った際の嫌がらせ先の確保に腐心します)。  

2 審査と称してしばらく待たされる

個人間融資であるはずなのに,会社組織のように複数の者が電話対応を行い,審査が必要と言われることが多くあるようです。 中には,個人的に信用情報機関に登録している等と大嘘を付く者もいるようです。  

3 少額の融資が実行される(ただし貸主は個人ではなく闇金)

「審査の結果,今回は10万円は無理なので2万円からのお付き合いになります。」 このようなことを言われることが多くあります。 というより,過去にも長期間にわたり闇金と取引がある優良顧客の方以外は,最初から10万円の融資が実行されることはまずないでしょう。 また,この段階で初めて法外な金利について聞かされることが多いようです。 その金利は年利率1000%を超えるような超高金利であることがほとんどです。 金利を聞いてから断ろうとすると,ここまでの事務手数料を支払えだとか,既に審査を経ているのだから借りてもらう(つまり押し貸しです)などと脅されたり,借りない場合はキャンセル料を支払ってもらうなどと言われる場合もあります。   以降は,DMや勧誘電話に応じて闇金に借りた場合と全く同じです。 高額な利息を払いつつしっかりと返済している間は何事もないでしょうが,ひとたび返済が滞ればあなた宛てに矢のような督促電話が入りますし,他への嫌がらせが有効とみればあなたが教えた家族や知人宛に返済を迫る連絡が入るでしょう。 個人間融資を募る掲示板は闇金の温床に過ぎず,善良な個人の方から借りられるところではないのです。  

個人融資掲示板の貸主は100%闇金

このように個人間融資掲示板の貸主側の書き込みは100%闇金であるといえます。 元々は素人が小遣い稼ぎのつもりで書き込んでいるケースがゼロとは断言できませんが,そういう者が貸主であってとしても,高い金利を取ったり逼迫した状況に付け込んで不当な要求をしたりと闇金化しており,個人であったとしても闇金業者とあまり変わらないといえます。 あなたが,「闇金ではなく親切な個人の方から借りられるかも」と一縷の望みにかけて貸主側の書き込みに応じようとしているのなら思い止まるべきです。

個人間融資掲示板に自ら書き込んだ場合

では次に,借主側の個人融資掲示板に自ら書き込み貸主からの連絡を待った場合についてご紹介しましょう。 こちらは主に2パターンあります。

個人を装った闇金から連絡がくるパターン

1つは,実際にサイトをみて連絡したといって善良な個人を装った闇金が連絡してくるパターン。 こちらのパターンは,貸主掲示板の書き込みに応じた場合と以降の流れは 同じです。 なお,こちらでも親切な個人の方が連絡をくれるかもと期待を込めて書き込む方がおられるかもしれないので付け加えますが,そのような可能性は極めて低いです。 なぜなら,個人間融資掲示板は違法業者が運営しているのですから,仮に本当に親切な人が書き込みをしたとしても,あなたとの貸し借りをまともに仲介するはずはないからです。 (試しに貸主側の掲示板に書き込んでみても,書き込みが表示されないサイトすらあります)  

個人間融資掲示板とは無関係を装って闇金が連絡してくるパターン

もう1つは,サイトとは無関係を装って,後日勧誘の電話なりメールなりが入るパターンがあります。 これも当然相手は闇金です。 この場合は,ただ単に闇金に個人情報を晒した,というだけになります。 結局,いずれのパターンにせよ闇金と付き合いが始まるだけです。

まとめ-個人間融資は闇金と繋がる-

今回は,
  • 個人間融資掲示板は違法な存在であること
  • 個人間融資で貸主を探しても闇金にお金を借りることになってしまうということ
についてご紹介しました。 個人間融資というと善良な個人の方からお金が借りられるようなイメージや,個人の方なので返済については融通を効かせてもらえるというようなイメージを持たれる方も多いようです。 しかし,実態は本記事で述べたとおりであり,個人間融資=闇金からの融資に近いというのが実情です。 最近では,ツイッター上でもアカウント名に「個人融資」や「個人間融資」と付けて利用者をカモにしている闇金も多数存在します。 お金の借入れは,貸主が正規の銀行や貸金業者であることが確認できる場合に限って行ってください。 また,万一個人融資でトラブルになってしまった場合は,ご自身だけでの解決は困難ですから信頼のできる司法書士や弁護士に相談すべきです。