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行政書士による詐欺的ヤミ金整理|闇金情報ブログ
投稿日:2014.11.21
最新更新日:2018.11.19
司法書士
行政書士による詐欺的ヤミ金整理
司法書士の下東です。
以前から詐欺的な闇金整理を行い問題となっていた某行政書士が提訴されたようです。
ここではA行政書士としておきます。
当事務所にもA行政書士に関する被害相談が何件か寄せられましたし,A行政書士の事務員や代表者とも話したことがあるので今後の裁判の動向は気になるところです。
報道ではA行政書士の報酬が高額な点や結局依頼しても取立てが止まらない点などが問題とされていました。
しかし,私がA行政書士と関わった際に感じた問題点は上記以外にも多数ありましたので,今回はそのことについて私なりの視点で書きたいと思います。
行政書士はヤミ金問題を扱えるのか
ヤミ金の取立てを止めるためには,相手と交渉するなど代理人として活動することが必要です。
これを仕事として扱うことが出来るのは弁護士か認定司法書士(認定司法書士は1社あたり140万円以下の事件までしか扱えません)だけです。
行政書士には相手方と交渉することは認められていませんからそもそもヤミ金問題を扱えるはずはありません。
よって,そもそも非合法な業務を行っているのではないかということになりそうですが,A行政書士にはA行政書士の言い分があります。
彼らは「内容証明を送付することによりヤミ金の取立てを止める」ということを建前としていて,適法な行政書士業務であると主張していました。
行政書士には,仕事として内容証明等の書類の作成をすることが認められています。その書類作成を通してヤミ金問題を解決するのだというのが彼らの言い分です。
一見問題ないようにも思えます。
しかし,以前の記事「ヤミ金に内容証明を送って解決?」でも書きましたとおり,昨今のヤミ金業者の所在は分からないことがほとんどですから内容証明の送付先が分かるとは思えません。
それを「他所は出来なくてもウチはすごいから出来るんです」というような全く根拠を示さない説明で内容証明はヤミ金に送れると言い張っていたのがA行政書士です。
私はこの話は絶対に信用出来なかったので,以前にA行政書士にその送った内容証明の開示を求めたことがあります。
それがこれです。
見にくいでしょうから内容を説明します。
この内容証明の通知人はA行政書士となっています。
依頼者名で送ったのではありません。依頼者名はどこにも明記されていません。
本文の内容としては概ね次のようなものです。
弊社において闇金融に関する相談が寄せられたため弊社調査部において居所調査を行ったところ貴社の貸付けであることが判明した。
取立てを即刻止めて頂きたいということが相談者の意思だが,本書面に相談者の住所氏名を記載することは取立てを助長することに繋がるので差し控える。
本書面を確認次第弊社に対し連絡いただきたい,その際に相談者の氏名を明かす。
こんなものを送っても取立てが止まるわけはありませんし,ご丁寧に「この内容証明は誰の件ですか」と尋ねてくるヤミ金がいるはずはありません。
それに,もっといえば,この内容証明は依頼者の相手方であるヤミ金には届いていません。
恐らく,詐欺やヤミ金などで多く使われる私書箱を適当に選んで送っているだけでしょう。
1件でもA行政書士からの内容証明を受け取った業者がいるのであればぜひ知りたいものです。
A行政書士の件についてはヤミ金業者の中でもかなり噂になっていたので私も彼らに聞いてみたことがあるのですが,皆一様にそんなものが届くはずがないとの回答でした(もっとも,ヤミ金のいうことを全面的に信用するのもどうかと思いますが)。
このように,相手方に届くはずのない内容証明を量産して仕事をしているかのように装い,書類作成料として高額な報酬を要求していたのがA行政書士の実態です。
また,内容証明をA行政書士名義で出して依頼者名を明記しない理由については単に経費節減のためではないかと思います。
要は,複数の依頼者の件について同一のヤミ金であったことにして1通で済ませているということです。
A行政書士の内容証明送付の実態はこういうことですから,ヤミ金には書面は届かず,よって取立ては絶対に止まりません。
強引な勧誘手法
A行政書士は「全日本闇金○○センター」など,公的機関であると誤信させるような名称を用いて複数のwebサイトを運営していました。
これを見てヤミ金被害者が電話をかけるのですが,電話をかけたら最後,かなり強引なやり方で依頼を取りつけていたようです。
例えば,昨今のヤミ金(090金融)は家に直接来るということはまずないのに,「今すぐ依頼しないと闇金が自宅に取立てにきて取り返しのつかないことになりますよ」と不安を煽って依頼を決めさせたり,ヤミ金の連絡先を聞きだして勝手に電話をかけ,「もう着手したからキャンセル出来ない」などと言ったり等,まともなやり方ではなかったと聞きます。
また,断った後も何度も勧誘電話がかかってくることがあるとも聞いています。
私がA行政書士に直接このことを確認した際には全面的に否認されましたが,こういう被害に遭った人はかなりの数いらっしゃるのではないでしょうか。
脱法的なヤミ金との交渉
既に述べたとおり,A行政書士は内容証明を送ることでほとんどのヤミ金の取立てを止めさせることが出来るとしていました。
ただし,全件ではなく一部交渉が必要な事件もある,その場合は顧問弁護士が対応する,との説明もしていました。
行政書士が依頼を受けた事件を顧問弁護士が対応するというのはまたおかしな理屈ではありますが,非弁活動(違法行為)はやっていないよということを言いたいのでしょう。
しかし,その顧問弁護士が出動して対応した件は実際には1件もないと思います。
A行政書士の事務所では,A行政書士の事務員にあたる人物らが事実上交渉といえることを行っていたため,顧問弁護士にお出ましをお願いする必要性がなかったからです。
これはつまりこういうことです。
A行政書士の事務所では,依頼を受けるとまず内容証明を送るのではなく,依頼者から聞き取ったヤミ金の電話番号宛に事務所スタッフが電話をかけます。
そしてヤミ金に対し,依頼を受けたことを伝えて内容証明の送付先住所を聞くんだそうです。
この際取引内容や取立てを止める意思はあるかどうかの確認等は一切しません。
したら交渉してることになってしまうからですね。
こうすることにより,本当にぬるいヤミ金(ある意味良心的な闇金)であれば取立てを止めることもあるのでそれを狙っての行動なのでしょう。
なお,それでも取立てが止まらず,そのことを依頼者が訴えるとそのたびに何度もヤミ金に対し連絡するのだそうです。
住所を聞くために。
なんだか荒唐無稽な話ですが本当のことです。
これではほとんどの業者が取立てを止めないでしょうから問題となるのも当然です。
ヤミ金よりもタチの悪い回収
A行政書士とは,報酬の支払いについてもトラブルになった方が多くいるようです。
支払いの期日が来ると,1日に何度も電話が来て支払いを催促されます。
そして猶予は基本的に認められず,ときには乱暴な口調ですぐの支払いを要求されます。
ヤミ金と同じような露骨な暴言は吐かないものの,「支払わないのならヤミ金に電話してウチは降りると伝える」などと告げて脅して回収をするような話は複数の方から伺いました。
営利目的でやっている以上,当然報酬は頂かなくてはならないものですが上記のような脅しを交えて回収を図るということが許されるはずはありません。
まとめ
このように,A行政書士の対応はヤミ金問題を解決に導くようなものではなく,被害者から更に搾取するためだけの詐欺的なものであったといえます。
現在,A行政書士のwebサイトは全て閉鎖されており,新規の受任はしていないと思われますので今後被害者が増えることはありません。
が,同じような手口の詐欺業者がまた現れないとも限りません。
ヤミ金被害に遭うということは脇の甘い証拠であり,そこに付け込んで騙そうと近づいてくる詐欺業者はいくらでもいます。
そういうものに騙されないためには,次のことに気を付けてください。
- NPO法人,探偵,行政書士などには依頼しない
- 弁護士又は認定司法書士に依頼する場合でも登録番号をしっかり確認する(可能であれば懲戒歴も確認する)
- 事務員ではなく資格者本人に会って相談する
- 100%解決・即日解決などの出来過ぎた話は信用しない
- ホームページなどの記載と食い違う説明をされたらその点について説明を求め,納得できなければ依頼はしない
- 電話のみの相談しか受け付けず,来所しての相談が出来ないようなところには依頼しない
上記のようなことに気を付ければ,二次被害に遭う可能性はほぼなくなると思います。