闇金に支払ったお金の返金を受ける方法

公開日:2014/10/07更新日:2018/11/19

カテゴリー:司法書士 タグ: ,

闇金に返金させる方法は?

司法書士の下東です。

闇金の悪質な請求から開放されたら,次に考えたいのが支払ったお金を取り戻すことです。

闇金への支払いは高額に上ることが多く,なかには50万円,100万円と支払っている方も決して珍しくありません。

その支払ったお金の一部でも返金を受けることができれば生活の建て直しに大きく役立つのではないでしょうか。

今回は,その支払った被害金の返金を受ける方法についてご紹介したいと思います。

闇金に返金させることは法律上認められているものの・・

闇金との取引は,出資法に違反する超高金利の利息契約を伴う違法なものです。

そして,闇金から受け取ったお金は,法律上は不法原因給付といって原則として返還義務がありません(民法708条)。

他方,支払ったお金は,不当利得又は不法行為に基づく損害賠償請求として全額返還を求めることができます(民法703条,709条)。

その返還請求の際には,支払額から受取額を控除する必要はなく,全額の返金を求めることができます(最高裁判所第三小法廷平成20年6月10日判決参照)。

例えば,闇金から10万円を受取り,これに対して15万円支払っていた場合,10万円の受取分を控除する必要はありません。

したがって,闇金に対して返還請求できる額は15万円になるのです。

これが法律上の原則です。

しかし,だからといって簡単に返金が受けられるということにはなりません。

なぜなら,闇金業者は最初から法律を守るつもりなく営業しているのですから,法律上返還義務があるからといって任意にする返還するわけがないのです。

専門家に依頼した場合の返金可能性

では,司法書士や弁護士などの専門家が入ったらどうかというとそれでもやはり回収可能性は低いものです。

返金を求める額が1万円から5万円程度であれば,闇金業者が費用対効果を考慮して返金に応じるケースもありますが(口座凍結等によりリスクを負うよりは和解に応じた方が良いとの判断),そうでもない限りあまり回収は見込めません。

しかし,全く回収不能かというとそうでもありません。

闇金との交渉次第で返金させることができる場合がありますし,それが不可能でも法律上の手続きで取り戻せることもあります。

以下,回収可能なケースについてみてみましょう。

店舗実態がある場合は返金させることが可能なことも

闇金が店舗や事務所を構えている場合は最も返金に繋がりやすいです。

以前と比べ闇金営業は厳罰化されていますし,店舗があれば摘発が容易ですから,業者側は専門家が介入すると刑事告発などを恐れてすぐに返金に応じるということが多くあります。

借りたばかりでまだほとんど返していないようなケースを除き,返金に繋がる事案が多い印象です。

もっとも,近年ではヤミ金は090金融化していますから普通に店舗を構えて営業している業者と取引をしている方はほとんどいないかもしれません。

ただし,金貨,おもちゃ,家具,絵画,貴金属類などの売買を装い,分割代金と称して高い金利を徴収するタイプの闇金などは店舗があることが多いですし,店舗はなくとも自宅で営業している自称個人貸し業者もいます。

また,裁判例でみる闇金事件簿 その2でご紹介した偽装質屋というタイプの闇金も存在します。

こうした取引態様の闇金であれば,専門家による交渉により支払ったお金の全部又は一部を取戻せる場合があります。

実際に私が関わった事案では,店舗へ訪問した場合は3割程度回収に繋がっていると思います。

対面取引の闇金からの返金

対面闇金との取引

駅や路上で対面して取引するタイプの闇金からも,うまく相手と会うことが出来れば返金に繋がることがあります。

ただし,店舗持ちの業者と違い司法書士等の専門家介入後は相手に会うことが難しくなり逃げられてしまうことも多いので実際にはあまり返金に繋がりません。

当事務所では,対面取引の業者の場合,うまく待ち合わせ場所におびき出して闇金に返金を迫り,回収に繋げることがありますが,実際に返金させられるかどうかは五分五分です。

非対面の闇金と取引している場合の返金は?

店舗実態がなく,会ったことのない闇金との取引のケースです。

この場合,残念ながら闇金が返金に応じるケースは極少数にとどまります。

場合によっては,上述したように,返金額が1万円から5万円程度の少額であれば闇金業者側が費用対効果を考慮(口座凍結されるよりは和解に応じた方が良いとの判断)して返金に応じるということもあります。

例えば闇金に支払ったお金が2万円だった場合,2万円の返金に応じない場合は口座凍結等の法的措置を執ると告げると,凍結は困るから2万円支払うと言ってくる場合があるのです。

口座を仕入れるのにもコストがかかりますから,凍結されるよりは2万円くらいなら払ってしまおうという判断ですね。

上記のような状況でない限り回収はほとんど期待できません。

ただし,この手の業者に銀行振込で返済している場合は,以下に紹介する振り込め詐欺救済法を活用することにより返金が受けられることがあります。

闇金被害金を取り戻す法律上の手続き

振込め詐欺救済法(正式名称:犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)とは,闇金や振り込め詐欺の被害者を救済するための手続です。

被害者は,闇金等が不正に利用していた銀行口座の残高から被害金の返金を受けることができます。

「でも闇金もバカじゃないんだからそうそうお金なんて残ってないでしょう」と思われがちですが案外そうでもありません。

当事務所ではこの手続きで毎年300万円以上の被害金を回収しています。

ノーリスクで被害金の返金を受けられる方法ですからぜひ試してみるべきです。

実際に返金を受けるまでの手続方法については過去に何度か書いていますからここでの紹介は割愛しますが,ご自身でも手続きが出来ますから闇金に多額のお金を振込んでしまった方は一度調べてみると良いと思います。

参考:「振り込め詐欺救済法の活用(ヤミ金被害金を取り戻す方法)

まとめ

以上,今回は闇金に支払ったお金を取り戻す方法をご紹介しました。

被害者のほとんどは「返済を終わりにしたい」「平和的に解決したい」とだけ思っていますから闇金からの返金というのはご希望にそぐわない解決方法かもしれません。

しかし,返金に応じる場合というのは闇金側も平和的解決がしたいと思っているということですから,実は「返金」と「平和的解決」は両立するのです。

また,振り込め詐欺救済法の手続きについては,被害者の方が当該手続きを行っていることは闇金業者の知り得るところではありませんから,手続きはノーリスクで行うことが出来ます。

闇金被害というのは非常にリピーターが多いのですが,返金を受けることにより生活の建て直しが出来れば,また借りてしまって辛い思いをするということはなくなるはずです。

闇金被害の本質的解決のために,一度被害金の取り戻すということもご検討されてはいかがでしょうか。

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